発達障害児の療育開始
療育センターで「自閉症」と診断され、その次の年度から週2回、
親子で通園して訓練を受けました。
トモが2歳10ヵ月~3歳9ヵ月の頃です。
「訓練」といっても辛いものではなく、
「遊び」を通して日常生活のルールなどを覚えるというもので、
本当に楽しい1年間でした。
ひとクラス6人~8人くらいで、発達の度合いでクラス分けがされていたようです。
遊びというのがとても変わっていて、
一般の家庭ではとてもできないというような代物でした。
感覚に敏感な子が多かったからかもしれませんが、
- ボールプール
- あずきプール(ボールの代わりにあずきを入れたもの)
- 紙テーププール(ボールの代わりに短く切った紙テープを入れたもの)
- ビーズプール(ボールの代わりにビーズなどを入れたもの)
などいろんなものがプールに入っていて、そこに滑り台でダイビングしたり、
カップで移し替えしたりして遊んだりしました。
それから粘土遊び、スライム、シャボン玉も多かったです。
夏には屋上で水遊びもしました。
運動の部屋では滑り台や平均台でダイナミックな遊びもしました。
身体を使って遊んだ後は、読み聞かせの時間もあり、
椅子に座って紙芝居やペープサートの話を聞いたりします。
最初の頃は訓練部屋を脱走していた子どもたちも、
そのうちに座って話が聞けるようになりました。
「座って話を聞く」というのは
発達障害の子どもたちにとっては大切なスキルですよね。
早いうちにできるようになってよかったと思いました。
そのほかにも着替えや排せつ、給食指導など盛りだくさんな内容でした。
あっという間に1年間が過ぎてしまいましたが、とても充実した日々でした。
療育センターに通園して得たもの
人嫌いで公園に知らない人がいると公園から逃げ帰ってしまうトモが、
通園はとても気に入った様子で、沢山の友達ができました。
トモだけでなく、私も同じ悩みを持つお母さんたちと知り合いになり、
今でもお付き合いが続いています。
療育センターに入所するときに、
園長先生から「"同じ悩みをもつ仲間を見つけること"も大事なことだよ」
と言われました。
あれから数年たって本当にそうだと思います。
療育が始まった頃は言葉が出なかったので知的障害児のクラスに在籍していました。
その後、会話ができるようになり、現在小学校の通常学級に在籍しています。
通常学級に在籍していても日々の悩みはあるわけです。
でも健常児のお母さんたちに悩みを打ち明けることができません。
「そんなこと、悩まなくてもいいのよ」と軽くあしらわれてしまったり、
相手にされなかったりすることが多いです。
逆に変な噂になっても困りますし、
もし私が療育センターの通園に行っていなかったら、
今はものすごいストレスを抱えていたでしょう。
療育センターに通園して、トモ自身もできることは増えました。
それ以上に悩みを抱えながら子育てをしていた時代に、
同じ悩みを共有しながら通える場があるということがとても心強かったです。
母親の精神面のサポートが
一番大きかったような気がします。
発達障害児の療育とは?
「療育センター」「療育手帳」など、
「療育」という言葉を耳にすることがあると思います。
我が家も療育センターにお世話になっているのですが、
そもそも療育ってなんでしょう?
「療育」という言葉を調べてみましたが、
言葉の意味については詳しい記述を見つけることができませんでした。
語源は肢体不自由児の医療と育成から派生しているようですが
「障害児が医療的配慮のもとで育成されること(大辞林 第二版)」なのだそうです。
私なりには
「発達障害児が将来社会人となって困らないような
スキルを身につけるための工夫・訓練」と解釈しています。
わが子が「自閉症」と診断されてから、
子育てについていろいろと考えてきました。
- 子どもは放っといても育つ
- 見よう見まね
などという言葉は、発達障害児には通用しないんだということもわかってきました。
一つ一つの作業を繰り返し教えていくことで
発達障害の子どもたちはスキルを獲得していきます。
とても気の遠くなるような作業ですが、
時間が経って振り返るとずいぶんできることが増えていることに気が付きます。
健常児のお母さんたちと比べると、
明らかに私の方が手間暇かけて子どもの面倒を見ています。
でもそれは、今やっておくとその後が楽になるから・・・
どうして自分の時間を犠牲にしてまで子育てをするんだろう・・・
ときどきふと思ったりします。
「わが子が一人前の大人になったときに、
ひとりの社会人として生きていけるようにするため」
それが私の目標です。
これから大きくなってきて限界も見えてくるかもしれません。
それは子どもの成長という可能性を信じるしかありません。
最近、大事件を起こす子どもたちのニュースをよく耳にしますが、
自分の子どもは、せめて「人に迷惑をかけない」子どもになって欲しいなと思います。
能力の限界はあるかもしれませんが、
本人の無理のないレベルで自立できるように・・・
それは親が子どもにしてあげる一番大事なことではないかと思います。
療育の効果
週に2回の通園で効果があったかと言えば
「少しはあったかな?」という程度です。
1年の間にものすごい伸びがあった子もいれば、
あまり伸びなかった子もいます。
実はわが子も療育センターにいたときには言葉がでませんでした。
発語がない状態で幼稚園に行っていいものかと相当悩んだくらいです。
普通の子でも個人差があるのですから、
もともと発達がゆっくり気味の子どもたちなので、
長い目で見ていく必要があると思います。
私は子どもの伸びよりも、
いろんな人との出会いやアドバイスが得られたことが
大きな成果だと思っています。
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